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2024/05/04

はじめに

当ブログは管理人ミアによる流行り神&サイレントヒル4の二次創作小説置き場になります。CPは道純・水純・ヲルヘンです。
同人要素が苦手な方や同性愛やパロディーに抵抗のある方は閲覧をお控え下さる様に御願い致します。尚ブログの無断抜粋・転載は固く禁止させて頂きますので宜しく御願い致します。



管理人・堀切ミア
S.H.Rank
流行り神ランキング

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2030/11/21 未選択

LOVE COOK2(ヲルヘン)

「駄目。鍋が焦げる」

しかし私が窘めるとウォルターはちょっと残念そうな顔をして。けれど丁寧に鍋の中の食材を沸騰させない様に掻き混ぜた。私は隣のコンロでおろし玉葱とバターを鍋に落とし細かく切った牛肉を炒める。
半年前ただこの部屋の住人と言う理由だけで異世界に飛ばされた私はまるで宿命の様に二十一の秘跡を阻止すべく殺人鬼を倒したが結局血の湖に沈むアイリーンを助ける事が出来なかった。
いつもの様に夢から目覚める様にベッドから起き上がりサイレントヒルの森で発見されたと言う他数名と共にアイリーンの死亡を告げるラジオを聴いた私は自分が必死に闘って来た事の無意味さに打ちひしがれた。部屋は異世界に通じる前の状態にすっかり戻り窓から差す朝日は穏やかで。しかし気分が優れなかった私がバスルームに向かおうとした矢先隠し部屋へ続くツルハシで開けた穴を再び見付けたのだ。
この後処理もしなければ、そんな風に考えながら入ってみると相変わらずの異臭はするが何故かそこまで気にならない程度に薄まっている。ふと見るとひんやりと静まり返った空間にウォルター・サリバンが俯せで倒れて居た。
十字架に吊るされた本体は滅びた筈なのに。
まだ異世界の頃の感覚が残っていた私は躊躇せず彼を抱き起こすと何とウォルターは私の腕の中でむずがる子供の様に身動ぎをした後に瞼を開けた。その時の衝撃は今でも忘れられない。部屋のドアを叩き続けて居た少年が実体が消える瞬間魂として部屋に滑り込んで彼に宿ったのか。
それとも母としてのアイリーンの命を引き換えに彼女の深い慈愛によりウォルターが蘇ったのか。

「...ヘンリー?」

しかし彼が私の名前を呼んだ時。
私は長い戦いの終わりと共に親に捨てられた挙句に施設では虐待を受け蔑まされて生きて来た挙句に世を恨む事しか許されずに殺人鬼へと変貌を遂げたこの弱い男に対する激しい同情を感じた。
それ以来二人は同居人の間柄になったのだ。

「よし完成!」

肉を炒めたらそれをウォルターの鍋に入れて塩と胡椒で味付けを加えて私は鍋の蓋を閉める。これで二十分煮込んだらビーフストロガノフの完成だ。
時間を確認する為にキッチンのテーブルから身を乗り出して時計を見詰めるが幸いにもそれほど遅い夕食と成らずに済んだらしい。意外に自分も久し振りの事を楽しんだ様で不思議と疲れは感じないから定期的にウォルターに料理を作ってやるのも良い気晴らしになるだろう。美味そうなライ麦パンも買って来たので今日は豪勢なディナーになりそうだと思って振り返ると私は鍋を見詰める彼に話し掛けた。

「ウォルター。
二人初めての共同作業の感想は?」

するとウォルターは肩を上げて首を振ると迷いもなくこう口を開く。

「ヘンリーと初めての共同作業をするのなら結婚式のケーキカットと言うものが良い」
「は?」
「日本では結婚式のカップルが一つのナイフでケーキ入刀するのが決まり事なんだそうだ」

結婚?カップル?
目を丸く開き固まる私にウォルターは歩み寄ると私の髪に唇を埋めながら腕を回して引き寄せる。それは何処で仕入れて来た知識だと胸を押し返して上半身を逃げる様に反らせながら思わず問うと彼は意気揚々とテーブルの上のもう一冊の雑誌を指差した。
これからはウォルターに読ませる雑誌は逐一吟味した上で選ぶ事にしよう。私は額に瞼にと降りやまないキスを眉を歪めて受けながらその腕の中でゆったりと体の力を抜いて身を委ねた。
怒る気になれないのは部屋中に美味しそうな幸せの香りが満ちているからと言う事にしておこう。


End

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2014/06/26 SILENTHILL Comment(0)

LOVE COOK1(ヲルヘン)

「そう言えば私は家庭の味と言う物を知らないんだ」
「家庭の味?」

その日仕事から帰って来た私を迎えながらウォルターが唐突にそんな事を言い出したので私は驚いて彼に問い返した。
するとウォルターはテーブルの上に置いてあった私の雑誌を指差すジェスチャーをしてこくりと頷く。それは部屋で暇をして居る彼にとマーケットで適当に選んだ情報誌。丁寧に開かれていた頁を覗き込むと其処には『貴方にも簡単に出来る家庭料理』と題して簡略化された様々な料理のレシピが掲載されて居た。

「食べたいの?」
「食べたい」

私は真面目に返事をするウォルターを認めながら鞄をテレビの横のチェストに置き成程なと一人ごちる。
一応希望の家と言う孤児院で育った彼だがやはり寄付だけで賄われて居る施設の食事は修道院に似た様に質素で貧しい物だったに違いないーそもそも希望の家自身全体的に胡散臭い雰囲気が有るしー同様に二人でこのサウスアッシュフィールドハイツの302号室に暮らし初めてからも男の二人世帯故に食事は近所のデリで買って来る物で済ます事が多かった。

「分かったよ。
なら君に我家の味を御馳走する」

私がそう言うとウォルターは子供の様に期待を込めた無邪気な微笑みを顔中に浮かべて此方を見詰める。私はそんなウォルターを背に財布だけをポケットに入れると比較的近場にあるマーケットに出掛ける為にドアノブに手を掛けた。

*****

「凄いな」

私が買って来たばかりの食材をキッチンに並べて居ると私の背後に近付いて来たウォルターが玉葱や牛肉のサーロインステーキを見て目をキラキラと輝かせる。
こう言う所は長年部屋をママだと信じ混んで居た彼らしく無邪気で可愛らしい。早速まな板を取り出して肉を切り始めた私を見て彼が興味津々と言った風情で綺麗な緑色の瞳で私の手元を覗き込んで来る。

「何を作るんだ?」
「ビーフストロガノフだよ」

そう言って肉に塩と胡椒を振り撒くと腕捲りしていたシャツが落ちて来そうな気配に慌ててまな板から手を上げる。ウォルターはそれを見て何も言わずにシャツの袖をしっかりと折り曲げてくれると新妻の料理を嬉しそうに見詰める夫の様に私の隣に寄り添った。

「ビーフストロガノフ?」
「そうだよ知らないかい?」
「ロシア語みたいだ」

そう。ビーフストロガノフの名前はロシアの外交官の名を冠したと言われる牛肉の煮込み料理でライスやパンを添えて食べる。
因みに何故この料理を選んだかと問われれば単純に母親が幼い頃から作ってくれていた思い出の料理だからに他ならない。最近は暫く仕事を無断で休んだ為ー所謂ウォルターの起こした事件に巻き込まれていた為ー職場の仲間に気を遣って罪滅ぼしの為にとなるべく残業にもかって出て居る。私はこんな風に仕事で疲れて帰宅した後も作りたいと思う程に料理好きと言う訳ではないけれど時にはこんな日もあって良い。
そう言えば明日は休日だ。
そう考えながら私は鍋を弱火に掛けてバターを溶かし入れるとパッと部屋中にバターの焦げる香ばしい香りが広がった。私はウォルターに箆を渡すと彼の大柄な体を引っ張ってコンロの前に立たせる。

「はい混ぜて」
「でも私は...」
「大丈夫だから」

初めての料理に戸惑う彼に私がそう励ますとウォルターはちょっと複雑そうな表情をしながらも渋々と小麦粉を入れた鍋をかき回す。ビーフストックやサワークリームもあらかた入れてしまったのでちょっと席を外そうかと思いきや私はウォルターに服の裾を掴まれて居る事に気付いて足を止めざるを得なかった。
私よりいくばくかも背の高いウォルターを見上げると彼は照れ臭そうに小声で『行かないで』と呟く。私が彼を慰める様にその金髪を撫でてやるとウォルターが私に抱き着こうと体の向きを変えた。


続く

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2014/06/26 SILENTHILL Comment(0)

姫君(道純)

「あれ?」    

紅茶を手に部屋に戻るとセンパイが寝ていた。

日差しに透けるふわふわのパジャマ姿。
日溜まりの中で昼寝をする猫の様にベッドに丸まり眠る姿は霊廟に眠る可憐なジュリエットの様で呼吸をして居るのか心配になる。先刻まで道明寺さんを部屋に招くのは何だか久し振りだから緊張します。と夜勤明けの頬を赤らめて居た風海センパイだが近付いて耳を澄ますと規則正しい微かだが健やかな寝息と上下する華奢な背中が見え安心した。
そんな恋人の無防備な姿を見て居た俺は途端に微笑ましい気持ちになり無意識にその場に座り込んで愛しい恋人の寝顔をじっくり見詰める。

基本的に風海センパイは礼儀正しい。

今日も夜勤明けの彼の空き時間を狙い足を運び手料理が食べたいと言うと
僕の下手くそな手料理でも構わないんですか?と露骨に驚いて居た所を見ると俺と彼が俺の一方的なアタックで強引に恋人になった今でも忘れてはいないのだろうけれど。だがそんなセンパイが見せる無防備な姿。それも睡眠と言う最も隙の多い姿を晒してくれていると言う事は多少なりとも俺を信用してくれているのだろう。
編纂室の一員としての様々な雑務。
不可思議な事件の連続な多忙な生活。
流石に疲れが貯まっているのかも知れないが俺を顔を近付けても全く微動だにしないので俺も風海センパイの年相応の寝顔を近距離から見てしまう。

くるんと曲線を描く長い睫毛とか。
微かに開いた桃色の綺麗な唇とか。

それと同時に今の自分が何故か息も詰まる程の幸福に満たされて居る様な気もするのだ。こんな静かな午後に愛する人の無邪気な寝顔を見詰められる事がこんなに幸せだ何て思わなかった。幾ら激務でも多忙でも風海センパイの存在が私を救うのだから。

「ちょっと...
このままじゃ理性の限界っす」

俺はそう言いながら目を細めると寝ている彼の短い猫の様な柔らかい髪を撫でてやりながら唇に触れるだけのキスをする。

今だけは目を覚まさないで?
俺だけの大切な大切な眠り姫。


End

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2014/06/26 流行り神 Comment(0)

パスタ(道純)

その瞳。
その頬。
その唇。

「美味しそうっすねえ」

愛する人を形成する各々の要素を見詰めながら微笑むと台所に立つ風海センパイが九条ネギを刻む手を止めて背後から腕を伸ばす俺に溜息を吐いた。
世の中には赤ん坊や子供に対する食べちゃいたい程に可愛いなんて言う言葉もあるけれどそれと同じ。例えば目の中に入れても痛くないと言うのもその類いの言葉と言うかちょっと過激過ぎる程の愛おしさを表現する言葉が日本語にはあるがそう言う語を用いらねば言い表せない気持ちが実際ある事に俺は風海センパイに出会う事で気付かされた様に思う。

カニバリズム。
日本語で言えば食人願望。
カニバリズムは人間が人間の肉を食べる行動または宗教儀礼としてその様な習慣を言い食人・食人俗・人肉嗜食・アントロポファジーとも言う。なお文化人類学における食人俗は社会的制度的に認められた風習で一時的飢餓下の緊急避難的な場合や精神的異常による食人を含まない、また生物学用語では種内捕食全般。世界的にはミルウォーキーに食人鬼の異名を持つジェフリーダーマーやアルバートフィッシュなどが有名だし日本でも幾つか食人に関する事件などは起きて居る。
が以前読んだ本には人間が食人に惹かれるのは征服の要素がある為と言う事が記されていた記憶がある。つまり性愛面に於いては抱く側の人間が補食者で抱かれる側の人間が被食者であると言う構図にもなる。言われてみれば相手の素肌に舌を這わせて体液を啜る様な性行為は食事との共通項も多く良く似て居る。

中世ではキリスト教以前の風習として死者の血肉が強壮剤や媚薬になると信じられていたと言う話もある。となると食べられる側『受け身』の人間は冗談じゃないと反論するだろうがその本には痛みと恍惚は同じ物でであると言う趣旨が記されておりマゾに例えたら納得出来てしまう気もしなくはないのが痛い所だが。

「…道明寺さんって」

――本当に悪趣味なんですね。

けれども赤頭巾の童話に出て来る狼ではあるまいし貴方を食べたいと言われて喜ぶ人なんて居る筈ない。案の定、俺に抱き締められながら器用に茹でたパスタとサーモンを自家製クリームソースで和えて居る風海センパイは所謂食人願望に関する話を詳細に続ける俺に呆れ声の返事を寄越す。
そして出来上がった湯気も香ばしいパスタの適量を皿に盛り付けながら九条ネギを添えた物を俺に差し出すと大人しくこれで我慢して下さいと言いながら上目遣いで軽く睨んだ。

ああ。
その表情も食べちゃいたいほど可愛いすよ。


End

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2014/06/26 流行り神 Comment(0)

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